近年、高金利で人気が高まっている外貨預金ですが、具体的に外貨預金にはどのようなデメリット、リスクがあるのでしょうか?
~為替手数料がかかる~
外貨預金を預け入れたり(購入)、払い戻す際には
市場の為替レートではなく、銀行(ネットバンク)所定のTTS(銀行売値)、TTB(銀行買値)が適用されます。
・円から外貨を預け入れ⇒「銀行所定のTTS(銀行売値)で外貨を購入」
・外貨を円に払い戻し⇒「銀行所定のTTB(銀行買値)で外貨を売却」
為替手数料は以下のような傾向があります。
為替手数料(TTS/TTB)の傾向 |
通貨 |
取引量が少なく高金利通貨は為替手数料も高い |
銀行 |
都市銀行よりもネットバンクが圧倒的に安い |
例えば大手都市銀行の窓口取引(為替手数料、片道1円、往復2円)で米ドルの外貨預金を始めるとして、預け入れ時、払い戻し時で為替変動がなく、いずれも市場で1ドル100円だったとした場合(金利・税金は考えないとして)・・・
取引内容 |
市場の為替レート |
購入・売却レート(片道1円) |
預け入れ |
100円 |
101円で購入(TTS) |
払い戻し |
100円 |
99円で売却(TTB) |
上記の通りとなります。さらに分かりやすく、上記の例で具体的に1万ドル(100万円)預け入れるとした場合・・・
取引内容 |
購入・売却時の計算 |
預け入れ |
100万円÷101(TTS)=9900.99ドル購入 |
払い戻し |
9900.99ドル×99(TTB)=980,198円払い戻し |
手数料合計 |
1,000,000円-980,198円
=19,802円(為替手数料) |
これ見て分かりますよね?
仮に預け入れ時と払い戻し時に為替変動がなく「1ドル100円」だった場合、約2万円の為替手数料がかかりますので、
仮に金利2%だった場合(米ドルが2%も付いたのは何年も前ですが・・・)、為替変動がなければ±0、さらに金利には20%の源泉分離課税が適用されるため、為替変動がなかった場合でも、大手都市銀行(窓口取引)ではなんと!米ドルの外貨定期預金は大きくマイナス、元本割れとなってしまうんですね( ̄Д ̄;;
金利が高いからと外貨預金を始めたのに元本割れするなんて。。。
これが住信SBIネット銀行(手数料、片道0.15円、往復0.3円)だった場合・・・
取引内容 |
市場の為替レート |
購入・売却レート(片道1円) |
預け入れ |
100円 |
100.15円で購入(TTS) |
払い戻し |
100円 |
99.85円で売却(TTB) |
取引内容 |
購入・売却時の計算 |
預け入れ |
100万円÷100.15=約9985.02ドル購入 |
払い戻し |
9985.02ドル×99.85=997,004円払い戻し |
手数料合計 |
1,000,000円-997,004円
=2,996円(為替手数料) |
え~っと、分かりますよね?大手都市銀行(窓口取引)で外貨預金を始めるのか?住信SBIネット銀行などの手数料が安いネットバンクなどで外貨預金を始めるのか?によって、利回りがかなり違ってくるのです(手数料が安いだけでなくネットバンクのほうが金利も高いです)。
為替手数料は特に、頻繁に取引したり、短期の取引、少額の取引きほど重くのしかかってきますので注意したいところです。
上記の通り、手数料のことだけを考えれば、手数料がボッタクリ並みに高い大手都市銀行(窓口取引)で外貨預金を始める理由は見つかりません・・・
※為替手数料、金利は予告なく変動する事がありますので、必ず各銀行、ネットバンクのHP等でご確認ください。
⇒外貨預金為替手数料・金利比較ランキング
~為替差損が生じる可能性もある(為替変動リスク)~
外貨預金によって大きく元本割れする可能性があるのが為替変動によって、預け入れ時から円高水準(1ドル100円⇒99円方向~)になること、いわゆる『
為替変動リスク』です。
為替市場は常に変動しており、為替変動によっては元本が大きくプラスになることもあれば、逆にマイナス、元本割れする可能性もあるのです。
例えば、1ドル100円時に1万ドル(100万円)外貨預金をした場合(金利・手数料・税金を考えないとして)、為替変動によって以下の通り元本が大きく変わってしまうのです。
1ドル100円 ⇒ 1ドル? |
1年後の為替レート |
1年後の円額 |
1ドル100円 |
100万円のまま |
1ドル120円
(円安ドル高) |
120万円に!⇒為替差益 |
1ドル80円
(円高ドル安) |
80万円に・・・⇒為替差損 |
上記の通り外貨預金はいかにして、円高水準で外貨を預け入れし、円安水準で払い戻す事ができるかどうかにかかっているのです!
そんな事は分かっていても為替市場を予想する事は株価同様に難しいため、為替変動リスクを完全に回避する事は専門家でも不可能ですが、日頃から新聞、テレビなどで世界経済のニュースをチェックする事が、為替変動リスクを最少限に抑えるための基本となることは言うまでもありません。
◎為替変動によって大きく円高水準となってしまった場合
仮に預け入れ時より大きく円高となり、日本円に戻すと元本が大きく目減りしてしまう場合、預け入れしている通貨の国へ旅行や出張で行く予定があれば、その外貨自体を現金化するか(外貨現金)、トラベラーズチェック(T/C)として引き出すといった方法もあります(外貨現金、トラベラーズチェックは扱っていない銀行、ネットバンクもあるので注意が必要です)。
トラベラーズチェック(T/C)については
⇒外貨預金のメリット(魅力)
また「日本円⇒米ドル」で預け入れていた場合でも、円高になったため日本円に戻すと大きく元本割れするような場合、もしも米ドルから見てドル高になる外貨があれば、例えばユーロが米ドルから見てドル高になっていた場合は、「米ドル⇒ユーロ」を購入するなど、日本円が絡まない外貨同士で取引を行う「
外貨クロス取引」も有効です。
米ドルからユーロ購入後は、今度は日本円でユーロを預け入れていると考え、日本円へ払い戻すタイミングを図ればいいのです(外貨クロス取引は手数料が高い傾向にありますので注意しましょう)。
ただ銀行、ネットバンクによっては外貨クロス取引は行っていない場合もありますので、外貨預金をする前に必ず確認しておきましょう。
~外貨預金は預金保険の対象ではない~
金融機関が破綻した場合、日本円を日本の銀行に預金している場合は「1金融機関につき1預金者あたり元本1,000万円(普通口座、当座口座合算して)までとその利息」が預金保険機構によって保護されますが(ペイオフ)、外貨預金をしている銀行(ネットバンク)が破綻した場合でも、
外貨預金は預金保険制度保護対象外となっていますので、破綻した金融機関の財産状況によっては外貨預金額が全額戻ってくる保証はないのです!
もちろん銀行(ネットバンク)が簡単に破綻することはありませんが、もしもの事を考えて、外貨預金する場合は金融機関、銀行(ネットバンク)の格付けを必ずチェックするようにしましょう。
格付けは
・
スタンダート・プアーズ(S&P)
・
ムーディーズ
・
日本格付研究所(JCR)
などの格付け機関が「AAA / AA+ / BBB」などと格付けされており、当然、AAAがもっとも格付けが高いということです。
各格付け機関によって格付けの評価は異なるのですが、スタンダート・プアーズ(S&P)では「BBB」以上、ムーディーズでは「A」以上の格付けが与えられていれば破綻する可能性は限りなく低いと言われていますので参考にしてください。