外貨預金が近年、資産運用の1つの手段として注目を集めていますが、具体的に外貨預金にはどのようなメリット、魅力があるのでしょうか?
~金利が高い~
皆さんご存知のとおり、現在日本の銀行で日本円を預金したところで超低金利なため、スズメの涙ほどの利息しか付きません(マイナス金利の影響によってとどめを刺された感じですね・・・)。
もちろん銀行(ネットバンク)、預入金額、預入期間などによっても金利は異なりますが、2017年現在、
・普通預金⇒『
0.001%~0.02%』
・定期預金⇒『
0.01%~0.35%』
ほどとなっていますので、せっかくの大切な資産を銀行に預けていてもほとんど利息は付かない状況なのです・・・。
一方、外貨預金の場合は通貨(米ドル・ユーロ・ポンドなど)によってかなり差があり、米ドル、ユーロなどは円預金の金利と変わらず低金利となっていますが、豪ドルは普通預金で0.5%前後、定期預金であれば1~2%の金利の銀行もありますので、日本円で資産運用するよりも遥かに利回りが良くなるのです(金利は各国通貨の利息水準に基づいて各銀行(ネットバンク)が決めているので、各銀行(ネットバンク)によって異なります)。
また銀行(ネットバンク)では頻繁に「金利優遇キャンペーン」などを行っていますので、そのような時に外貨預金を始めれば多少は有利となりますが、銀行(ネットバンク)によってはキャンペーンはかなり頻繁に行われており、さらにキャンペーンでも意外と?利回りがたいして変わらないこともありますので、キャンペーンだからといって飛びつくのは注意が必要です!
いずれにしても「
いくら高金利といっても為替変動による為替差益、為替差損のほうが大きくなる」ので、高金利というだけで外貨預金を始めるのではなく、いまが外貨預金を始めるタイミングか?なぜその国の通貨を選んだのか?など、外貨預金をする理由、始める理由をよく考えることが非常に大切なのです!
※外貨預金の金利は都市銀行よりも「楽天銀行・住信SBIネット銀行・ソニー銀行」などのネットバンクなどのほうが高い傾向にありますが、金利、手数料、取引の自由度など総合的に判断すれば外貨預金よりもFX(外国為替証拠金取引)、外貨MMFのほうが有利な場合が多いです。
⇒外貨預金vsFX(外国為替証拠金取引)
⇒外貨預金vs外貨MMF
~為替差益を得る事が可能~
正直、外貨預金が幾ら金利が高いといっても、為替手数料、税金を差引けば元本が大きくプラスになるどころか、逆に元本がマイナス、元本割れする可能性だって十分考えられます。
例えば大手都市銀行(窓口取引)で「1ドル100円時に1万ドル(100万円)の1年外貨定期預金(金利0.02%)、為替手数料1円(往復2円)」の場合、1年後も1ドル100円と為替変動がなかったとしたら、「金利約200円(税金を考えないとして)・為替手数料約2万円」となりますので、1円も殖えていないどころか、大きくマイナス、元本割れとなってしまうのです。。。
もちろん楽天銀行、住信SBIネット銀行、ソニー銀行などは都市銀行に比べて為替手数料が安く、金利も高くなっていますので、1年後に為替変動がなかった場合でも、大手都市銀行ほど大きくマイナスにはなりませんが(米ドルは現在低金利なのでそれでもマイナスになります)、短期間では金利だけでは大きく殖えないのが現実なのです(上記の通り大手都市銀行で外貨預金をするメリットはほとんどありません)。
なんだ、外貨預金はおいしくないなー、と思われたかもしれませんが、外貨預金で短期間で元金がプラスになる可能性があるのは実は金利ではなく「
為替変動による為替差益」なのです。
確かに長期的に見れば金利も非常に重要なのですが、多少の金利差なら少しの為替変動によって吹っ飛んでしまうほど、為替変動による為替差益、為替差損のほうが遥かに大きいのです!
・
為替差益⇒「為替レートが預け入れ時より
円安になり円に払い戻すと利益が得られる」
・
為替差損⇒「為替レートが預け入れ時より
円高になり円に払い戻すと損失が生じる」
例えば「1ドル100円時に1万ドル(100万円)の1年外貨定期預金」をした場合(金利、手数料、税金を考えないとして)、
1年後の為替レート |
1年後の円額 |
1ドル100円 |
100万円のまま |
1ドル120円
(円安ドル高) |
120万円に!⇒為替差益 |
1ドル80円
(円高ドル安) |
80万円に・・・⇒為替差損 |
どうです?金利より為替変動による為替差益、為替差損のほうが遥かに大きくなる事が分かると思います。
このように外貨預金、外貨MMF、FX(外国為替証拠金取引)などの外貨建資産は為替変動によって大きくプラスになることもあれば、逆にマイナス(元本割れ)になってしまうこともあるので、
いつ始めるか?いつ払い戻すか?という事が非常に重要、それどころか為替市場を予想し、いかに円高水準のときに始め、円安水準のときに払い戻せるかが全てだといっても過言ではないのです!
~資産のリスクヘッジ?~
国家破産、大震災、テロなどによって将来的に円が大暴落した場合、"円"だけで金融資産を持つ事自体が大きなリスクとなってしまいます。
もしも日本が財政破綻した場合、日本円は大暴落し、物価急騰(ハイパーインフレ)が起こるので、いままで100円で買えた物が1,000円、10,000円となり、その結果、国民生活も破綻に追い込まれていってしまうのです。
日本に限ってそんな事は起こらないと思っている方もいるかもしれませんが、東海大地震は近い将来必ず起こるといわれており、現に2011年3月11日には東北地方太平洋沖地震で大きなダメージを受けましたし、もしも東京などの大都市圏でこのような大震災が起こると日本経済は大打撃を受け、復興には多大な資金が必要となるので日本が財政破綻する可能性はさらに高まるのです!
さらに日本の借金は1,000兆円以上(国債+地方債)、それに比べて年間の税収は約50兆円なので、少子高齢化が進み税収が減少し、日本経済がマイナスに転じれば、いつ国、日本自体が国家破産しても不思議ではないのです!
そのような場合でも外貨建資産を持っていれば生活が破綻に追い込まれるどころか、日本円が大暴落=日本円に対して外国の通貨(ドル・ユーロなど)が驚異的に上昇しますので、複雑な気持ちですが、日本の国自体は破綻に追い込まれても、個人的には大きな資産を得る事が出来る可能性があるのです。
「
自分の将来は国は守ってくれない。自分で守るしかない!」ということを考えれば、外貨建資産を保有する事は大きなリスクヘッジになるかもしれません。
※実際問題、日本の銀行で外貨預金をしていた場合で、日本経済が破綻した場合、外貨預金も預金封鎖の対象になる可能性が高いのでリスクヘッジになるとはいえません。もちろんFXは外貨のポジションを持っているだけですのでリスクヘッジということで言えばほとんど意味がないでしょう。資産のリスクヘッジを本気で考えるのであれば、色々難しいですが、海外口座を開設し外貨を保有したり、金(ゴールド)、仮想通貨などを所持するしかないかもしれません。。。
トラベラーズチェック(traveler's check=T/C)とは、現金同様に使える海外旅行者向けに発行される使用期限のない「旅行小切手」のことで、日本円を外貨に両替するよりも有利なレートで購入できることが大きな特徴です。
トラベラーズチェックは「銀行・郵便局・空港・クレジットカード会社・旅行代理店」などで購入可能で、以下のような特長があります。
~トラベラーズチェックの特徴~
○現金同様に使える(全ての国、場所で使えるわけではない)。
○現金を外貨に両替するよりも有利なレートで購入できる(手数料が安い)。
○紛失、盗難の場合も再発行可能。
○サインだけで使用できるので便利。
○有効期限がないので余った場合は次回の旅行に使える。
○払い戻しも可能(手数料がかかります)。
○海外で多額の現金を持ち歩いたり、クレジットカードによる被害を抑えられる(海外旅行にクレジットカードは必須ですが)。
~トラベラーズチェックが発行されている通貨~
トラベラーズチェックは世界各国すべての通貨で発行されているわけではなく、以下の国の通貨で発行されているものが一般的です。
⇒アメリカドル(米ドル)
⇒ユーロ
⇒イギリスポンド(英ポンド)
⇒カナダドル
⇒豪州(オーストラリア)ドル
⇒スイスフラン
~トラベラーズチェックと外貨預金~
海外旅行へ行く予定の国の通貨の外貨預金をしておけば、仮に円高方向に進み、この状況で円に換えると為替差損を生じる場合でも、外貨現金、トラベラーズチェック(T/C)で引き出せば為替差損を最小限に抑える事ができるのです。
ちなみに外貨現金よりもトラベラーズチェック(T/C)で引き出すほうが手数料が安いのでお得となります。
※トラベラーズチェック(T/C)、外貨現金、外貨送金には対応していない銀行(ネットバンク)もありますので、事前に確認しておきましょう。