外貨預金とは1998年、外為法改正によって個人投資家でも参加可能となった外貨投資(外国為替取引)の1つで、日本円を「アメリカドル(米ドル)・ユーロ・イギリスポンド・豪ドル・NZドル・スイスフラン・南アフリカランド」など、外国の通貨に換えて預け入れる、金融機関(銀行・信用金庫・ネットバンク)、証券会社などで取り扱っている近年人気の金融商品です。
外貨預金は預けた外貨には期間と金利に応じた利息がつき、外国の通貨は日本円に比べて総じて金利が高いため円預金よりも利回りが良いのですが、逆に「日本円⇔外貨」に換える際に為替手数料がかかり、為替変動によって為替差損が生じ元本割れする危険もありますので、金利が高いからというだけで飛びつくと痛い思いをするかもしれませんので注意が必要です!
外貨預金を始める前に、円高、円安についてきちんと理解しておきましょう。
為替相場は日本だけでなく世界の政治、経済などさまざまな要因によって常に変動しており、基本的に日本円が対象となる外国の通貨よりも価値が上がった場合に『
円高』、逆に価値が下がった場合に『
円安』になります。
例えばアメリカ経済が低迷し、日本経済が上昇した場合(実際はアメリカ経済が低迷すれば日本経済も低迷する可能性が強いですが)、為替市場ではアメリカドル(米ドル)が売られ、日本円が買われますので、『円高ドル安』になるのです。
具体的には・・・
・1ドル100円⇒「1ドル101円方向~」⇒『
円安ドル高』
・1ドル100円⇒「1ドル99円方向~」⇒『
円高ドル安』
上記のようになります。
円が「100円⇒101円~」に上がっているのに円安とはおかしいような気もしますが、次のように考えると分かりやすいかもしれません。
~円安ドル高~
・100円で1ドル換えたのが101円になった⇒「今までよりも多くの円でドルを換えることとなるので円の価値が下がった(円安)」
・ハワイ(アメリカ)旅行へ行って1ドル100円で買えた物が1ドル101円になった「多くの日本円が必要になるので円の価値が下がった(円安)」
~円高ドル安~
・100円で1ドル換えたのが99円になった⇒「少ない円でドルが換えるようになったので円の価値が上がった(円高)」
・ハワイ(アメリカ)旅行へ行って1ドル100円で買えた物が1ドル99円になった「少ない日本円で物が買えるので円の価値が上がった(円高)」
日本は「TOYOTA・日産・ホンダ」などの自動車メーカーを筆頭に輸出によって利益を上げている企業が多いので、一般的に「円安ドル高(1ドル100円⇒101円方向~)」になると多くの企業の収益が増大するため日本経済も好景気になりますが、急激な「円高ドル安(1ドル100円⇒99円方向~)」になると逆に企業の収益が減少するため日本経済も不景気になる傾向にあります。
TOYOTAなどは1円円高(1ドル100円⇒99円)になるだけで約350億円、SONYは約75億円の営業減益要因になると言われています。
例えば・・・
・アメリカで100万ドル収益:1ドル100円⇒「1億円」
・アメリカで100万ドル収益:1ドル99円⇒「9,900万円」
となりますので、輸出産業は急激な円高になると大きく営業減益となってしまうのです。
具体的には"想定為替レート"というものを会社が決めており、例えば想定為替レートを1ドル100円としていた場合で、1ドル105円になれば収益が上がることとなるため、業績が上方修正されることが多いです。
逆に1ドル95円になれば収益が下がるので、下方修正することとなるのです。
一口に外貨預金といっても「アメリカドル(米ドル)・ユーロ・イギリスポンド・豪ドル・NZドル・スイスフラン・南アフリカランド」など、さまざまな通貨があり、どの通貨を選択するかは難しいものです。
外貨預金を始める理由は日本に比べて金利が高いからと言う方も多いと思いますが、金利が高いからといった理由だけで通貨を選ぶ事は危険です。
なぜなら金利が高い通貨はマーケットが小さく流動性が低く、変動が激しくなることが多いので、大きなリターンを得る事が出来ることもありますが、逆にリスクも高いからです。
ですので世界の基軸通貨である
アメリカドル(米ドル)、第2の基軸通貨
ユーロを中心に通貨を選ぶ事が基本となります。
もちろん米ドル、ユーロのみで運用しても良いですが、その時々の政治、経済情勢、通貨の特徴などを考慮し、臨機応変に対応することも非常に大切となります。
また海外旅行へ行きたい国の通貨、またはよく行く国の通貨を選ぶ事も
有です。
なぜなら例えばよくアメリカに行くとして、アメリカドルの外貨預金を保有していた場合、仮に円高ドル安(1ドル100円⇒99円方向~)になり、このまま日本円に換えるとマイナスとなってしまう場合でも、外貨現金やトラベラーズチェック(T/C)で引き出せば資産を効率的に使用できるのです(外貨現金、外貨送金は取扱っていない金融機関もありますので注意しましょう)。