外貨預金とよく比較される外貨投資商品が『
外貨建MMF』です。
外貨MMF(マネー・マーケット・ファンド)とは、外貨建の公社債、短期金融商品などを投資対象としている
投資信託のことで、「アメリカドル(米ドル)・ユーロ・イギリスポンド・カナダドル・豪ドル・NZドル」建てなどの商品が販売されており、投資信託ですので元本保証はありませんが、かなりリスクの低い金融商品です。
外貨MMFは投資信託とはいえ、外貨預金と非常にシステムは似ています。例えば、
○購入、解約時に為替手数料がかかる。
○為替相場の変動によって為替差益を得る事が出来る(逆に為替差損が生じる事も)。
○外貨預金の金利と外貨MMFの利回りは同じくらい。
では外貨預金と外貨MMFどちらが有利なのでしょうか?為替手数料、金利などを徹底比較してみました。
外貨MMFは投資信託ですので、証券会社、投資信託を扱っているネットバンクなどで購入する事ができますが、各証券会社(ネットバンク)によって購入、解約時にかかる為替手数料が異なり、
外貨MMFも外貨預金同様、為替手数料の差で勝負が決まるといっても過言ではありません!
では具体的に外貨預金と外貨建MMF、どれほど為替手数料が違うのでしょうか?
具体的にアメリカドルの外貨預金、外貨建MMFを購入、解約した場合の為替手数料は以下の通りです(分かりやすくするため金利・税金はないものとして計算しています)。
※ネットバンクの外貨預金は為替手数料が最安水準の住信SBI銀行、ネット証券の外貨建MMFは為替手数料が最安水準のSBI証券の場合で計算しています。
外貨預金と外貨MMFの為替手数料比較 |
為替手数料(米ドル商品:1米ドルあたりの手数料) |
外貨預金 |
都市銀行
(窓口取引) |
片道1円~ |
ネットバンク |
片道15銭~ |
外貨建MMF |
大手証券会社 |
片道50銭~ |
ネット証券 |
片道25銭~ |
※外貨預金の場合、外貨預金残高、取引額に応じて為替手数料、金利が優遇さる銀行(ネットバンク)が多いので、上記以上に為替手数料が安くなる可能性もあります。
では具体的に「1ドル100円時に100万円分購入」した場合・・・
1ドル100円時に100万円分預け入れ、取引した場合・・・ |
外貨預金
(大手都市銀行)
為替手数料1円
|
100万円÷101=9900.99ドル購入 |
外貨預金
(ネットバンク)
為替手数料15銭 |
100万円÷100.15=9985.02ドル購入 |
外貨MMF
(大手証券会社)
為替手数料50銭
|
100万円÷100.50=9950.25ドル分購入 |
外貨MMF
(ネット証券)
為替手数料25銭
|
100万円÷100.25=9975.06ドル購入 |
上記の通りとなり、外貨預金を日本円に払い戻し、外貨MMFを解約する際にも同様の為替手数料がかかりますので、外貨預金の払い戻し時、外貨MMFの解約時に仮に1ドル100円で為替変動がなかった場合・・・
1ドル100円で為替変動がなかった場合の払い戻し、解約 |
外貨預金
(大手都市銀行)
為替手数料1円
|
9900.99×99=980,198円 |
外貨預金
(ネットバンク)
為替手数料15銭 |
9985.02×99.85=997,004円 |
外貨MMF
(大手証券会社)
為替手数料50銭
|
9950.25×99.50=990,050円 |
外貨MMF
(ネット証券)
為替手数料25銭
|
9975.06×99.75=995,012円 |
その結果・・・
外貨預金と外貨MMFの為替手数料の差額 |
外貨預金
(大手都市銀行)
為替手数料1円
|
980,198円=19,802円(往復手数料) |
外貨預金
(ネットバンク)
為替手数料15銭 |
997,004円=2,996円(往復手数料) |
外貨MMF
(大手証券会社)
為替手数料50銭
|
990,050円=9,950円(往復手数料) |
外貨MMF
(ネット証券)
為替手数料25銭
|
995,012円=4,988円(往復手数料) |
上記の結果となりましたので、仮に為替手数料だけを考えれば「外貨預金をネットバンク(住信SBI銀行)で始めるほうが有利」と言えますね(大手都市銀行の窓口取引で外貨預金を始めると悲惨な結果が待ってますね・・・)。
※通貨によって為替手数料は異なります。
為替手数料ではネットバンクの外貨預金が有利という結果となりましたが、では金利(利回り)はどーでしょうか?
この金利も外貨預金の場合は各銀行、ネットバンクによって異なりますし、外貨MMFの利回りも各ファンドによって異なりますので一概にどちらが有利、不利とは言えませんが、具体的にアメリカドル(米ドル)の外貨預金、外貨建MMFの金利、利回りは以下のような感じです。
外貨建MMFと外貨預金の金利(利回り)比較(米ドル) |
商品 |
購入場所 |
金利(利回り) |
外貨普通預金 |
大手都市銀行 (窓口取引) |
0.1~0.3% |
ネットバンク |
0.01~0.25% |
外貨定期預金
(1年定期) |
大手都市銀行 |
0.2~0.6% |
ネットバンク |
1.0%前後 |
外貨MMF |
証券会社等 |
0.8%前後 |
※上記の金利、利回りは2017年7月末現在の数値です。
外貨定期預金の場合は預け入れ時の金利が満期まで適用されるのに対し、外貨MMFは投資信託ですのでファンドの運用成績によって利回りが日々変動するのが大きな特徴です。
また外貨MMFは商品(ファンド)ごとに利回りが決まっていますので、同じファンドであれば大手証券会社、ネット証券どちらで購入しても年換算利回りは同じとなります。
ということは?為替手数料が安いネット証券で購入するほうが断然、有利なのは言うまでもありませんね。
以上のことから外貨普通預金は金利が低く、大手都市銀行(窓口取引)の外貨預金は為替手数料がボッタクリなので論外として(-。-;)、
ネットバンクの外貨定期預金と外貨MMFでは金利(年換算利回り)差がほとんどないので、金利(利回り)だけで比較すれば、正直、どっちでも同じようなものですσ(^_^;)
※外貨MMFは商品(ファンド)によって年換算利回りが異なり、当然高利回りの外貨MMFのほうが有利ですが、上記の通り、運用成績によって日々利回りは変動しますので、現在もっとも年換算利回りが高い商品が将来に向かっても高いとはいえないので注意しましょう。
※外貨預金の金利は各国の金利情勢などによって変動しますので、最新の数値は必ず各銀行、ネットバンクHP等でご確認ください。
外貨建MMFと外貨預金の取引時間、解約の制限はど-なっているのでしょうか?
|
購入場所 |
取引時間 |
解約(払い戻し) |
外貨普通預金 |
都市銀行
(窓口取引) |
営業時間内 |
いつでも可 |
ネットバンク |
月曜早朝~
土曜早朝 |
外貨定期預金 |
都市銀行
(窓口取引) |
営業時間内 |
解約不可または
ペナルティ |
ネットバンク |
月曜早朝~
土曜早朝 |
外貨MMF |
証券会社等 |
証券会社の営業時間内 |
いつでも可 |
上記の通り、金利(年換算利回り)が外貨定期預金と外貨MMFと同じだと仮定すれば、いつでも解約できる外貨MMFのほうが明らかに有利だといえます。
なぜなら為替相場は常に変動しており、外貨定期預金で1年間解約できない、または中途解約する事によってペナルティ(解約日における外貨普通預金の金利が適用されるなど)があると臨機応変に立ち回る事ができないからです。
例えば今後、大きく円高方向へ進むと予測される場合(実際問題為替相場がどちらに動くかを予想する事は難しいですが)、外貨MMFでは当然、その時に解約すれば被害を最小限に抑えることが可能ですが、外貨定期預金で中途解約できないとなると、満期日には大きく元本割れしている可能性があるからです(ペナルティを受けても今後大きく円高方向へ向かうと予測される場合は中途解約するほうが良いかもしれません)。
逆に大きく円安方向へ為替相場が動き、ここで利益を確定したい場合でも外貨MMFでは自由に解約できますが、外貨定期預金の場合は中途解約に縛られて解約できず、満期日には再び円高方向へ動き、為替差益を得る事ができないことがあるからです。
「日本円預金よりも利回りが良い」ので外貨預金、外貨MMFを始めようと思っている方が多いと思いますが、短期的には「
金利(利回り)以上に為替変動による為替差益、為替差損のほうが遥かに大きくなる」ので、いつでも解約可能だということは非常に重要なのです!(もちろん長期運用を考えているのであれば金利(利回り)も非常に重要です)
外貨預金と外貨MMFの税金は以下の通りとなっています。
|
利息(分配金) |
為替差益 |
外貨預金 |
利息に対して一律20.315%
源泉分離課税 |
雑所得として確定申告 |
外貨MMF |
分配金に対して一律20.315%
申告分離課税 |
申告分離課税として確定申告 |
上記の通り、外貨預金の利息、外貨MMFの分配金には20,315%の税金がかかる事は同じで、どちらも確定申告不要ですが、外貨MMFの場合は他の株、投資信託と損益通算する場合は確定申告が必要となります(損益通算しない場合は確定申告不要)。
また為替差益は外貨預金が雑所得として税金がかかるのに対し(年収2,000万円以下の給料所得しかないサラリーマンであれば、外貨預金の為替差益が20万円以下であれば実質非課税)、外貨MMFの場合は申告分離課税として確定申告が必要となります(外貨MMFの特定口座(源泉徴収あり)の場合は確定申告不要)。
⇒外貨預金の税金と確定申告
※外貨預金の利息にかかる税金は源泉分離課税となり、20.315%が差引かれたものを受け取りますので、確定申告できません(為替差益による雑所得は確定申告が必要)。
外貨MMFと外貨預金を色々、比較してきましたが、まとめると以下の通りです。
|
外貨定期預金 |
外貨建MMF |
為替手数料 |
片道15銭~
(ネットバンク) |
片道25銭~
(ネット証券) |
金利
(利回り) |
同じくらい |
解約 |
中途解約不可
またはペナルティ |
自由 |
取扱通貨 |
多い |
多くなってきた |
税金 |
為替差益は雑所得 |
申告分離課税 |
資産管理 |
預金保険制度保護対象外 |
分別管理 |
結論から言うと、為替手数料はネットバンク(住信SBI銀行)の外貨預金が有利ですが、取引の自由度が高く、為替差益が非課税となることから、総合的に見れば「
外貨建MMFのうほうが有利な面が多い」といえるかもしれません。
また取り扱
い通貨は以前まではネットバンクの外貨預金の場合、「米ドル・ユーロ・イギリスポンド・豪ドル・カナダドル・NZドル・スイスフラン・南アフリカランド」と多く、ネット証券の場合ほとんどが米ドル建MMFしか扱っていなかったのですが、近年はネット証券でも米ドル建MMFだけでなく、カナダドル建MMF、豪ドル建MMF、南アフリカランド建MMF、トルコリラ建MMFなど、ネットバンクの外貨預金とほぼ同じのラインナップとなっていますので、その点から考えれば、外貨預金、外貨MMFどちらも差がないと言えますね。
~当サイトオススメネット証券会社~
外貨MMFを始めるのであれば、為替手数料の安い以下のネット証券をオススメします。
|
証券会社 |
取り扱い通貨 |
特徴 |
1位 |
SBI証券 |
米ドル/豪ドル/南アフリカランド/NZドル/カナダドル/トルコリラ |
ネット証券口座開設数No.1 |
2位 |
松井証券 |
米ドル |
米ドル建MMFの為替手数料は最安値 |
3位 |
楽天証券 |
米ドル/豪ドル/南アフリカランド/NZドル/カナダドル/トルコリラ |
1,000円前後から買い付け可能 |